「彼がいやらしいんです」
とその娘は言いました。
ん~どんな風にいやらしいのか気になるところですが、根掘り葉掘りというのも下品な気がします。
「たとえばどんな感じ?」
と当たり障りのないように質問してみたところ、
「彼が、わたしのことが嫌らしいんです」
とオイオイ泣き始めました・・・
言葉や文章の区切る部分を変えて、違う意味にする言葉遊びを『ぎなた読み』というそうですが、まさかリアルに体験するとは思いもしませんでした。
「実は、母に告白したんです」
とその娘は続けて話しました。
え?禁断の親子関係?
「告白?」
ぼくはただ、繰り返すことしかできませんでした。
「はい、彼とのことを母に告白したんです」
間違ってはいないけど・・・いちいち表現がトリッキーすぎです。
その後もくじけずに話を聞いていると、
「わたし、彼との関係を通して出世したいんです」
ん~彼はIT長者とか石油王で、いわゆる玉の輿のことでしょうか?
「出世というのはどういう意味?」
と素朴に尋ねてみたところ、
「わたし、自分自身を出世させたいんです」
と力強く答えてくれました。
実はその娘はブリだったのでした・・・というオチの話ではなく、単に彼女の勘違いで、成長の意味で出世という言葉を使っていただけでした。
とりあえず、ぼくの中では彼女は”言葉のフェイント女王”に飛び級で出世し、少し疲れましたが楽しい時間となりました。
ぼくも恥の多い生涯を送ってきたので、いろいろ勘違いもしてきました。
たとえば、親子丼です。
子どもの頃、夕食が親子丼だと妙にわびしい気持ちになっていました。卵と鶏肉をご飯にかけているだけで、給料日前に外食ができない状況で親子だけでひっそり食べるから親子丼とずっと思ってました。だからぼくは、今でも親子丼は何となく苦手です。
さつまいもやかぼちゃは戦争中を思い出すから見るのも嫌!という世代の方に近い感情かもしれません。
今後ともよろしくお願いします。
クリニックブログ
トリッキー
2013年04月02日