まれに契約書の見開きにまたがって押印する機会がありますが(割印ではなく、契印と呼ぶそうです)、まさに判で押したようにいつも上手にできません。
基本的にもれなく先方の分はもうすでに押印ずみです。
向こうは日常的にポンポンポーンと押しまくって慣れているらしく、段差なんて微塵も感じさせない程に見事な印影の後から押印するプレッシャーは、正直なところエグいものがあります。
緊張しながらも呼吸を整え、全神経を集中させて押印した後、ドキドキしながらはんこを紙から離した時、、、
しっかり押せていたのは輪郭だけで、肝心の名前が霞んで抜けていることも決して珍しくありません。
その際、相手だけでなく契約書にも負けたような敗北感や、大人としての一般的なスキルが身に付いていない劣等感に襲われてしまいます。
そんなわけで、個人的には大人の階段の一つは、契約書にキレイに押印できるようになることです。
ちなみに大人といえば、天ぷらを塩で食べたのは社会人になってからで、ちょっとした衝撃でした。
スイカには塩は使わず、おしるこ(ぜんざい)の塩昆布も不要派であるものの、その後は天ぷらはもっぱら塩が定番化していたのですが、つい先日、塩と天つゆで食べ比べる機会がありました。
その折、ぼくは実はなかなかのラング・ド・シャ=猫舌の持ち主で(「シンクロニシティ日和」)、天ぷらが揚げたてだと天つゆの方が適度に冷めて食べやすく、自分には合っていることを改めて再確認したのですが、それは大人らしからぬ、やや屈辱的な現実でした。
なお某〇亀製麺では天ぷら用にソースがありますが、天つゆから塩への大人の階段を上がった後では、実印からシャチハタに引き戻されたような後退の感が漂います。
新型コロナ感染症とデジタル化の波に押され、ようやくはんこ文化も衰えていきそうですが、これだけ情報技術が進んだご時世でも、医療機関同士のやりとりで最も使われるツールは・・・
なんといまだにFAXで、それが残念で仕方ありません。
開院してから知った事実でしたが、それこそ実印からシャチハタどころか、芋版の時代に逆行したかのような旧態依然とした有様でした、というか、です。
今後ともよろしくお願いします。
クリニックブログ
大人の階段
2021年01月31日