おごってもらうことになって「わーい」と喜んでいたら、服にこぼれてしみになってしまった・・・
これはまさに天国から地獄で、普通にこぼすより落差のある分ダメージが大きいです。
しかも、なぜかめったに着ないスーツやまっ白な服を着ている時にかぎって多いような気がします。結局しみ抜きのためにクリーニングに出すことになると、そちらの方が高くついてしまうこともあります。狭量でお恥ずかしいのですが、そんなマイナス収支の時にはおごってもらったことを悔やむことも無きにしもあらず・・・
この天国から地獄コースには、おごってもらう以外にもいくつかのバリエーションがあります。
たとえば試食。
おばちゃんに強く勧められて、どれどれなんて食べようとしてこぼしてしまった時の絶望感。
昔の人はいいことを言いました、ただより高いものはないと。
他にはアイスクリーム。
ダブルを注文するとたまたまトリプルになるサービス期間中で、ラッキー!と喜びのダンスを踊ったのも束の間の天国で、食べるのが間に合わず溶け始めてしまい地獄へと一直線・・・
こぼさないように細心の注意は払っているつもりなのですが、一方では柔道の受け身の発想でこぼれた時のダメージを最小限にすることも大切です。
クリーニングに頼らず手軽にしみが取れればいいのですが、個人でしみ抜きをするのは汚れの成分によって対処法が異なり面倒です。
これ1本でしみ抜きは全部お任せ!というような懐の深い洗剤はないのかな?と探していたところ、ついに見つけてしまいました。
なんと80種類ものしみに対応するという万能しみ抜き洗剤で、しかもドイツ製。
これはかなり信頼できそうです。
ただあまり強力なのも、しみは取れたけど服も溶けちゃいました!では困ります。
パッケージの説明を読むと、その成分は環境にも配慮されていて自然にやさしいことを売りにしているので問題はなさそうです。
いくつか種類がありましたが、携帯できるコンパクトタイプのものを買うことにしました。これがあれば、どこで何がこぼれてもオーケーです。
一刻も早くしみを落としたくてウズウズしていましたが、皮肉なもので途端にこぼさなくなってしまいました。また、おごってもらう機会もそうそうあるものでもありません。
すっかりドイツ生まれの秘密兵器のことも忘れかけた頃、先輩と食事に行くことになり、おごってもらうことになりました。あえてオムライスを注文したのですが、深層心理のどこかでその新しい相棒の力を試したかったのかもしれません。ケチャップ注意報が発令される中、ものの見事にケチャップが服にかかってしまいました。よりによって白い服に、まっ赤なしみが実に鮮やかでした。いつもなら落胆するところですが、この時は違いました。
くっくっく、チャンス到来です。
「だいじょうぶ?」と心配してくれる先輩に心配ご無用のポーズを決め、「ドイツ製万能しみ抜き洗剤~」とドラえもんのように取り出し、わくわくしながら使ってみることにしました。
ドイツといえばソーセージ、ソーセージといえばケチャップ、ということはドイツ製ならケチャップなんて楽勝のはずです。
使用法は極めて簡単で、しみ部分にその液をつけてこすり5分ほど放置、その後に液をしっかり拭きとるだけです。
説明のとおりにして、5分が経過。
白色の液が泡のように残っていたので、結果はそれを取り除かないと分かりません。
深夜のTVショッピングのようなリアクションをしようと待ち構えながら、液を拭きとりました。
「さあ、このようにすっかりしみが取れて・・・イナーイ」
たしかに薄くはなっていたのですが、ぼんやりとしみが残っていました。
どうした、ドイツ製?
80種類のしみに対応するんじゃないの?
そういえば車の傷の場合だと、日本人はすぐに直したがりますが、欧米の人はあまり気にせずいちいち直さないとか。
ひょっとしたら、ドイツ人はケチャップのしみが服についてもそんなに気にしないのかもしれません。
「これ、何に見えます?」
とロールシャッハ・テストをしてその場はやり過ごし、後日いつものようにクリーニングにしみ抜きに出しました。
ブラヴォー、クリーニング!
やっぱり、その道のプロに任せるのが安心できますね。
というわけで、こころの病気も専門の医療機関に相談することが大切だと考えます。
その際には、当院も選択肢に入れていただけると何よりです・・・
実はこの流れ、このブログの第1回と同じ展開です。
そのタイトル『出発点』は宮崎駿監督の本から拝借したのですが、映画『風立ちぬ』を観てきたので原点回帰してみました。
今のところ初心は忘れていなくて、ケチャップのしみのようにまだこの胸にあります。
今後ともよろしくお願いします。