そこはセルフサービスのうどん屋で、中に入るとかなりの行列が出来ていました。
ぼくが最後尾で待っていると、扉が開き次に入ってきた客が普通ではないタイプのお方でした。
数字でたとえるのであれば、8とか9とか3といった感じになります。
「ひょえ~」
背後からの殺気を帯びた暴力的なオーラに、頭上からクモの糸でもうどんでも何でもいいので降りてきたら、それにつかまり逃げ出したい気分でした・・・
しかし運の悪いことに行列はなかなか動かず、待つことが大嫌いな後ろのお方は明らかにイラついてきているようでした。
徐々に速くなる貧乏ゆすりのビートに乗せて、見事に刻まれる舌打ちのパーカッション。
それはもはやジョーズのテーマをも超えた恐怖のBGMと化し、全く生きた心地がしませんでした。
それから少しずつ列が動き始めると、ようやくぼくの注文する番になりました。
しかしその時、とんでもないことが起こったのです。
何とぼくの背後からそのお方が、先に注文を告げてしまいました。
個人的には「どーぞどーぞお先に」ぐらいの勢いであり、まさに望むところだったのですが・・・
「いえ、こちらのお客さんが先です」
とうどん屋のオヤジはきっぱりとそれをはねのけてくれました。
これまでにいろんなお店に行きましたが、この時ほどのおもてなしを受けたことは後にも先にもありません。
まさに命がけのおもてなしで、そのうどん屋のオヤジはぼくの中では永遠のヒーローです。
今後ともよろしくお願いします。
クリニックブログ
ヒーロー
2014年09月30日