「あきらめたらそこで試合終了だよ」
とはスラムダンク・安西先生の有名なセリフですが、一方では
「探すのをやめた時 見つかることもよくある話で♪」
なんて歌もあるので、一体どちらが正しいのか迷ってしまいますね。
さて前回は名古屋を訪れたことを書きましたが、今回はその続きで帰りの乗り換えの話です。
一緒に行っていたのはMさんという約10歳年長のおじさまで、彼の最寄り駅は岡山駅から西へ7駅の金光という駅になります。なので岡山駅から金光駅に行く終電 (=23時33分発)に間に合うには、遅くとも名古屋駅を21時33分発の新幹線に乗らなければなりませんでした。
ところがいろいろあって予定が大幅に遅れてしまい、名古屋駅に戻ってくるためにようやく乗れたのは21時31分着の電車だったのです。
つまり我々に与えらえた時間はわずか2分で、これでは西村京太郎氏のトラベルミステリーの犯人でも乗り換えは不可能に思われました。しかしそれでもあきらめずに電車内で若い運転士さんをつかまえ、新幹線の乗り換えについて質問してみたところ・・・
「この電車は21時31分に名古屋駅着だと思うんですけど、21時33分発の新幹線に間に合いますか?」
すると彼は顔をゆがめながら
「2分ですか?ん~ちょっと厳しいですかね」
「走っても無理ですか?」
「まずこの電車は21時31分着となってますけど、正確には21時31分30秒着なんです」
「えっそうなんですか」
「同じように新幹線も21時33分発という表記でも、15秒単位で発車時刻が決まっているんです。
ただ、ここでは正確な時刻は分かりません。ですから21時33分45秒発なら2分15秒ありますが、33分00秒発なら1分30秒しかないことになります」
「なるほど」
「しかも・・・」
「は?」
「この電車は現時点で約2分遅れて運行してます」
おっとっと~
わずか2分の乗り換え時間でもまだ望みを捨ててはいませんでしたが、さすがにマイナスではどうあがいても無理っぽい感じです。
もはやここまでか・・・とあきらめかけたその時、よほど気の毒に思ったのかその運転士さんから次のような提案がありました。
・できるだけ急いで遅れを取り戻す努力はしてみるけど、結果はあまり期待しないでもらいたいこと。
・乗り換えがうまくいかなかった場合は新幹線の指定席が無効になってしまうので、この電車の中で新幹線の指定席を後の便に変更する申し出を承諾したことにし、その証明を切符に書いておくこと。
・その上で名古屋駅に着いたらまずは新幹線を目指して急ぎ、無事に乗れたら今の指定席のままで帰り、失敗したら窓口に行って便の変更手続きをすればよいこと。
といった感じの・・・はっきり言ってしまって超神対応をしていただき、スリル満点の無謀な乗り換えに再び挑戦する勇気が見事に復活しました!
よい子&身体のよろしくないお年寄りは、絶対に真似をしないで下さいね。
新幹線の乗り換え口への階段に近い電車の扉を教えてもらい、そこで扉にへばりついて電車の到着を今か今かと鼻息も荒く待ち構え、ついに電車が停まり扉が開くと時刻は21時32分を数秒回ったところでした。
途中で2分遅れていたことを考えると、それから1分30秒も挽回してくれたことになりますが、それでも状況が厳しいことには変わりありません。
しかし新幹線の発車が21時33分45秒であれば可能性はまだ残されていると考え、ぼくとMさんは扉からホームに勢いよく飛び出したのですが・・・
「あれ?」
その時まず気付いたのは、乗り換え口への階段までの距離が思った以上に遠かったことでした 。
しかしそれでもめげずに階段に向かって走り出そうとした時、階段までの間の電車の扉からたくさんの人が出てきて、階段までの道が人の群れで見事に埋め尽くされてしまいました。
とてもじゃないですが、これだけの人だかりをよけながら走ることなどできそうにありません。
ここにてようやく心は完全に折れてしまい、のんびりと歩いて階段を上がって窓口に行き、指定席を一つ後の便に変更してもらいました。
ちなみに変更したのは21時52分発の新幹線で、岡山駅には23時32分着の予定でした。
目標だった終電は23時33分発なので乗り換え時間が1分だけありましたが、岡山駅で新幹線から在来線に1分で乗り換えるのはまず不可能です。
というわけで終電は潔くあきらめ、途中の倉敷駅までは電車がまだあるので、倉敷駅からタクシーですかね?なんてMさんと話しながら帰ってきました。
そして定刻どおり23時32分に岡山駅に着くとちんたら移動し、ぼくは岡山駅で降りるため駅の改札内でMさんと別れました。
それからしばらくしてメールの着信があったので確認してみるとMさんからで、
”(゜∇゜)福山行きがいました。”(原文ママ)
なんと岡山駅から金光駅への終電が遅れていたので奇跡的に乗れちゃったらしく、たしかにこの可能性が残されていたけど盲点だったなあと一人反省しました。
さてここで、冒頭のテーマに戻ります。
今回終電に無事間に合ったのは、かなり終盤まであきらめずに頑張った結果でしょうか?
それとも、最後の最後にすっぱりあきらめたのがよかったのでしょうか?
話を根底から覆すようでズルイかもしれませんが、終電に間に合ったのはMさんの人柄や日頃の行いの賜物だと思います。
というわけで結論としては、普段からの言動をどうか大切に。
あきらめる、あきらめないは、たぶんそのおまけです。
今後ともよろしくお願いします。
クリニックブログ
あきらめる?あきらめない?
2016年05月24日