岡山県倉敷市阿知1-8-10 武部不動産ビル2F 倉敷 駅のほとりの心療内科 まくらぎクリニック

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たのもう!

2014年02月06日

先日、大学時代の同窓会があったので参加してきました。
特に何事もなく会は終わり、本当によかったです。その会自体がよかったのは当然として、平和に終わったことが本当によかったです。というのも・・・
ぼくは実はこのような会には参加しないタイプなので、
「まさか農薬持ってないよね?」
「ははーん個人情報が目的だな」
「さてはアリバイ作りか?」
などの疑いに満ちた視線を勝手に感じていました。さらに会場になっていたホテルは、何度か食中毒で営業停止になっていた記憶があります。
「うーむ、ここで食中毒が起こっても、誰かが何か入れたのでは?と疑われたら、まっ先に怪しまれそうだ・・・」
とひそかに心配になってきました。そんなわけで、おそらくその場に居合わせた誰よりも、皆の健康状態を気にしながらの数時間だった自信があります。なので、会が無事に終わった時には心の底からホッとしました。少しくどいかもしれませんが、本当によかったです。
さて、そこで同級生と話していた時のことです。ふと見ると彼の口の周囲には多数の傷=カミソリ負けがあり、別に彼はひげが濃いわけでもなく、その理由が気になってしまいました。
すると、意識の奥底に深く潜っていくような感覚に襲われ、気付くと大学時代の記憶の中にいました。

・・・あれはたしか20歳の頃。当時ぼくは散髪屋を決めず、髪が伸びてくると適当な店に
「たのもう!」
と気分は道場破りで入ることにしていました。ぼくは当時からひげが濃く、自分のひげをうまく剃れるかどうかはその店のスキルを知る上で格好の目安でした。とはいっても、かなりの店がひげそりでは失敗し、よく傷ができたものです。しかし、その後の対応は店によって違ったので、失敗は失敗で楽しみにさえしていました。
黙って絆創膏をくれた店、くしなどの粗品をくれた店、200円まけてくれた店、難しいんだよ!と逆ギレした店など・・・
ひげそり保険があれば、迷うことなく加入していたと思います。その日はたしか暑い夏の日で、髪がむさ苦しくなってきたのでいつものように目に入った店を攻めることにしました。
しかしドアを開けた瞬間、ぼくは激しく後悔しました。
中にいたのは老婆も老婆、超老婆で、山姥といっても過言ではない妖気が漂っていました。すぐ逃げようとしたものの恐怖のあまり体が動かず、気付けばシートに座らされていました。前の鏡にうつる自分の顔はひどく緊張し、迫り来る恐怖におののいているようでした。そんな様子を見た老婆は、
「別に怖がらなくても、とって食べたりはしないよ」
と笑顔で話しかけてきました。
声も思っていたより若い感じで、実は見た目よりかなり若いのかもしれません。ひょっとして期待しちゃっていいのかも?と気持ちを素早く切り替え、見た目だけで判断していたことを反省しつつ、こちらの希望を伝えてお手並み拝見といくことにしました。
で、まずはひげそり。
熱い蒸しタオルで肌が温かくなってひげもやわらかくなると、いよいよ開始です。
「ブチッ!」
これはひどい腕前で、明らかに血管が切れたのが分かり、ヘモグロビンに含まれる鉄の臭いが立ち込めてきました。その後も、
「ブチッ!ブチッ!」
は快調に続き、
「うぅ、このままでは殺されてしまう・・・」
と意識が遠のきそうになった時に、その老婆がひとこと。
「ぼくぅ、血が出てるよ」
「ブチッ!!!」
あっ今のはブチ切れた時の音です、念のため。思わず老婆に、
「お前が出させたんじゃっ!」
と叫んでいました。
まったく、自分の責任は棚に上げて、
「鼻毛出てるよ」
ぐらいのノリで言いやがってからに。
この妖怪退治を最後にぼくは散髪屋破りからは足を洗い、決まった店に通うようになったのでした・・・

意識は時をこえて同窓会に戻り、目の前の彼を見ながら、そのカミソリ負けにまつわるドラマを想像したり、ひげそり保険に勧誘してみようかな?など企んでいました。
同窓会というちょっと甘酸っぱい刺激が、いろんな可能性を秘めてたあの頃の自分にSTAP細胞のように戻らせてくれたひと時でした。
今後ともよろしくお願いします。

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