本日は8月31日であり、子ども達の長かった夏休みもついに終わりを迎えますね・・・
とは言ったものの、一部の学校では前倒しでとっくに学校が始まっているらしく、何をそんなに生き急いでいるのか、ぼくにはさっぱり理解不可能です。
個人的には選挙権の18歳への引き下げなんかよりも、夏休み短縮の方がはるかに切実な問題のように思えてなりません。
さて、その夏休みの宿題には読書感想文というものがありますが、子ども達の活字離れを引き起こしている犯人グループの主犯格はこいつではないかと、実は以前からずっと目星を付けていました。
読書というものは本来は面白いものであるはずですが、問題はそれをまだ知らない人にどのように伝えるか?ということになってきます。
やはり子どもはシンプルですから、学校の勉強=面白くない=敵というイメージを持ってしまいがちなので、読書が宿題という形で強制的にやらされてしまうと、ネガティブな印象を強く持ってしまうのはある意味仕方がないことです。
さらに読書感想文には課題図書という余計なものがあり、これがまた死ぬ程つまんない本をわざわざ選んであるものだから、
『読書感想文のために、いやいや本を読むことにする
⇒どの本を読んだらいいのか分からず、とりあえず課題図書を読んでみる
⇒絶望的に面白くないので、読書が大ッ嫌いになる』
という流れで、読書嫌いの子どもがガンガン大量生産されているわけです。
ただ、活字の読書でなければ体験できない世界があることは確かだと思います。
よって、自分のツボにぴたっとハマることを、マンガや映画などの他のメディアにはない独自の表現で体験させてくれる一冊の本にもし巡り会うことができたなら、それは幸福な人生といってもよいのではないでしょうか?
それでは、最近ぼくが読んだ本についての感想で今回は終わりにしたいと思います。
それは『鼻の先から尻尾まで』(岩田誠著、中山書店)という本で、なんと2800円というなかなか強気な価格設定です。
しかも税抜き価格なので支払いは3000円オーバー、一般の感覚からすると残念ながらボッタクリの烙印を押されても仕方ありません。
ちなみに著者である岩田誠氏は神経内科の高名な医師で、2004年に長嶋茂雄氏が脳梗塞で倒れた際には東京女子医大の神経内科で治療を受けていたのですが、当時マスコミによく出ていた主治医の内山真一郎教授の上に主任教授として君臨していた人です。
というわけで私大の教授には実はその上がいたりして、実質的にはNo.2だったりするので騙されないようどうかご注意下さい。
話がやや脱線してしまいましたが、ちょっと前に岡山の丸善を車で訪れると、本来買うつもりだった本がなく、むざむざ駐車料金払うのもなんかヤだな~とブラブラしている時に、偶然見つけたのが今回の『鼻の先から~』という本でした。
はっきり言っておきますが、他の人には絶対にこの本を勧めたりはしません。
なぜなら、この本をこんなに面白いと感じたのは、ひょっとしたら地球上でぼくだけかもしれないからです(岩田先生、申し訳ありません)。
でも、自分にとって心から大切な本というのは、そういう気持ちになってしまうような一冊のことではないでしょうか?
わーこれ好きだけど、それってもしかして自分だけかもしれない、というような気にさせてくれる本との出会いこそ、本当に得難いものに違いありません。
なお、この本にはタイトルのとおり鼻から尻尾までの神経内科学的なエッセイが30話収められていますが、それを少しずつ読み進めている時はまさに至福のひとときでした。
しかし、何事にも終わりがあります。
この本の終わりが近づくと、まるで夏休みの終わりのような切ない気持ちにぼくはなってしまい、実は第30話はまだ読んでおりません。
8月31日で時の流れが止まってしまえばいいのに、そんな思いを込めるようにして最後の1話は大事に取っています。
今後ともよろしくお願いします。
クリニックブログ
夏の終わり ’15
2015年08月31日