当院の待合には壁掛けの本棚があり、現在では雑誌を3冊、写真集を2冊、そして文庫本を4冊置いています。
開院当初は鼻息も荒く、『クーリエ・ジャポン(COURRiER Japon)』などハイブロウな雑誌を並べていたのですが、あまりにも誰にも読まれないため早々と方針を変更し、『月刊タウン情報おかやま』『オセラ』『日経トレンディ』といった庶民派の雑誌を並べることにしました。
写真集は写真家でもある先輩の先生が開院の直前に来て下さり、その際にプレゼントしてもらった2冊を飾っているのですが、なおこのサイトにおける院内の風景画像は、その時に撮影していただいた写真を使わせてもらっています。
それから文庫本は、特に深い意味とか理由があるわけではなく、シンプルに自分の好きな作品を置いてみました。
『ほら男爵 現代の冒険』(星 新一著)、『なみだ研究所へようこそ!』(鯨 統一郎著)、『十七歳だった!』(原田 宗典著)、『カンガルー日和』(村上 春樹著)の4冊で、自分はこういったユーモアを好む人間だということを、本のラインナップをとおして静かに伝えたかったのかもしれません。
当初は文庫本やそれ以外にも徐々に増やしていくつもりだったのですが、どうしようかな~と迷いながら内容が下ネタすぎて今でも躊躇し続けている『行け!!南国アイスホッケー部』のコミックスや(「ソチ・オリンピック」参照)、他にも好きな絵本や画集であるとか、いろいろ考えたりはしてきたものの、結果だけに目を向けると何にも変わっておらず、本当にお恥ずかしいかぎりです。
ただ先日、そんな停滞した状況に一石を投じる出来事がついに起きてしまいました。
その日、通院中の患者さんで、もうおばあさんと言って差し支えない年齢の方が、予約の日でもないのに突然に来院し、
「この本面白いから読んで下さい、ついでに待合に置いて下さい」
と、ある本を受付に渡して帰って行ったとのことでした。
ぼくは診療中だったので直接には会えなかったのですが、とりあえず後で彼女が置いていった本を見てみると、
『やばい老人になろう』
というさだまさし氏の本がそこにありました。
今回の患者さんの突発的な行動は、「やばい」の範疇に入るものだと思うので、もし彼女がこの本に感化されすぐさま実行に移したのだとすれば、
「なんという影響力!」
と空恐ろしくなってしまった次第です。
当院にはお年を召した患者さんはあまり受診されてはいないものの、待合でこの本を読んで急速にやばい老人に変身されたらとても手に負えないため、涙を飲んで置くのは控えさせていただかなければなりません。
それでもどうしても置いてほしいと懇願されたら・・・
バランスを取るために『楢山節考』(深沢 七郎著)とでも並べて置くつもりです。
今後ともよろしくお願いします。
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影響力
2019年01月23日