岡山県倉敷市阿知1-8-10 武部不動産ビル2F 倉敷 駅のほとりの心療内科 まくらぎクリニック

クリニックブログ

君は一体どこにいるんだ?

2015年12月08日

以前に知り合いに電話をかけた時のことなのですが、つながった時からどこか違和感がありました。
なんとなく声がくぐもった感じで、その声の周囲の雑音や雰囲気もそれまでに経験したことがないような変な様子で、電話の向こうに想起された光景はまるで地球の果てのようなイメージでした。
そんなわけで一瞬ひるんでしまったものの、どうにか用件を話し終えると少し余裕が生まれたので、
「なんか電話が変な感じなんですけど」
と思い切って疑問をぶつけてみました。
すると彼はなんだそんなことかといった口調で、
「ああ、今ロシアだからね」
と気さくに答えてくれたので、そうだったんだ、ロシアならこの妙な感覚も納得!とすっきりした一方で、えーっと電話をかけたのはこっちからなんだけど、この国際電話の料金はどっちの負担になるんだろう?と心配になってしまいました・・・なお後者の心配については、どんな場合でも彼が自分の負担になる設定にしてくれていたので、ぼくはやれやれと胸をなでおろしたものでした。

それから、ちょっと前に整形外科の先生から電話がかかってきた時に受けることができず、後からかけ直した時の話です。
その先生とは特に親しい関係でもなかったのですが、なんと携帯電話の番号を教えてくれていたのでそれにかけてみたところ、やはりつながった時からどこか違和感がありました。
声は特に変わった印象ではありませんでしたが、電話を通してこちらに伝わってくる周囲の雰囲気はピリリと張りつめていて、さらにその奥では小さな機械音が一定のリズムで聞こえていました。
というわけでまたもや一瞬ひるんでしまったものの、どうにか用件を話し終えると少し余裕が生まれたので、
「なんか電話が変な感じなんですけど」
と思い切って疑問をぶつけてみました。
するとその先生はハハハと豪快に笑いながら、
「ああ、今オペ中ですからね」
とあっさり答えてくれたので、なるほど、この感じはたしかに言われてみたらオペ室だな!と合点した一方で、この先生オペ中に携帯に出ちゃうんだということに大いに驚き、そういや大学の同級生で外科医になったOはオペ中に寝てしまったことがあるとか教えてくれたし、手術ってのは意外に自由なんだなと感心したものでした・・・なお以前に「やぶ医者」という回で登場したEという耳鼻科の先生は、手術中に手に負えなくなりひとまず中断すると、近くの開業医の先生に片っ端から電話をかけまくってヘルプをお願いし、それでどうにか手術を終わらせたという伝説を持っています。
そんなのに比べたら電話でも爆睡でも、腕さえよければもう何でもOKという気がしたものでした。

そしてこれはわりと最近、患者さんとの電話での話です。
M君は少しぼんやりしたところがあるものの、とてもユニークな大学生なのですが、電話がかかってきた時に出られなかったので、後から彼の携帯にかけ直してみました。
すると、つながった瞬間から壮絶な雑音に襲われ、それはもはや轟音といっても過言でない程でした。神経を集中させて耳をすませてみると、かすかに奥の方で彼の声がしているような気がしましたが、とても内容を聞き取ることはできそうにありませんでした。こちらから精一杯大きな声で彼に話しかけるも事態はまったく変わらず、気付けば電話は切れており静寂が訪れましたが、耳にはまだ先程までの騒音の余韻がうっすらと残っていました。
うーむ・・・ロシア、オペ室との電話で鍛え抜かれたぼくでも彼のいる場所を想像することはできず、彼は一体どこにいるんだろう?と頭を悩ませることになりました。
とりあえずもう一度かけてみることにしましたが、再び電話はつながったものの今回もやはり同じような結果でした。雑音のシンフォニーのような凄まじい音の洪水が鳴り響いており、電話の先にある世界はもはやこの星のものではないような気さえしてきました。
君は一体どこにいるんだ?
と心配になってしまったぼくは、幸いにも彼は実家暮らしでその電話番号を控えていたので、おせっかいな気もしましたが家に電話してみることにしました。
誰かが出てくれさえすればことのあらましを説明し、ひょっとしたらとんでもない事態に巻き込まれているのかもしれない彼を、救出しなければならないという使命感に燃えていたのだと思います。
「ハイ、Mです」
ん?
明らかに聞き覚えのある声が電話に出たので意表を突かれてしまい、ぼくは少しの間ことばを返すことができませんでした。
「えーっと、まくらぎクリニックの小野ですけど・・・M君ですか?」
「ハイ」
「・・・さっき携帯に電話したらすごい雑音だったんだけど、あれは家で電話に出たのかな?」
「ハイ」
「・・・雑音ハンパなかったけどね」
「アァ、携帯壊れてるんですよ」
「・・・あっそうなんだ、ところで今日はずっと家にいたの?」
「ハイ」
「あっそう、実はね・・・」
となんとか用件を話し終えると、早めに携帯を修理した方がいいよとアドバイスして電話を切りましたが、ひとまずはM君が無事だったので安心したものでした、ホッ。
今後ともよろしくお願いします。

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