ぼくの父親はなかなか寡黙な人で、物心ついた時から食卓で余計な会話をすることはほとんどありませんでした。
あれはたしか小学生の頃、そんな父親がある夏の日の夕食で、
「一年で一番緊張する季節って、いつか分かるか?」
と突然に口にしたので驚いてしまいました。
真面目なクイズなのか、それともなぞなぞなのかも分からず、残りの家族は押し黙ってしまい、重苦しい空気が漂う中で、
「正解は夏、キンチョウの夏・・・」
という答えの発表によって(ご存知ない方のために説明しておくと、その昔蚊取り線香のCMで「金鳥の夏」というのがあり、金鳥と緊張のダジャレですね)、先程の質問がなぞなぞであったことは判明したのですが、慣れないことをするものだから当然のごとくハズし、その後の緊張感といったら尋常ではなく、あまりにも気まずい雰囲気にまさに蚊取り線香のように、耐え切れなくなった蚊が何匹か地面に落ちていたような気がします。
こんな父親は昔ながらの、実に古い人間でした。
中学生の頃に父親と二人だけで昼食に行った際、そこは軽食を出す喫茶店だったのですが、ぼくはスパゲッティを注文しました。
すると父親は、
「そんなものでは力が出ないだろう、お米を食べなさい、お米を」
と真顔でダメ出しをしてきたので、米じゃないと力が出ないなんて・・・いったい何時代なんだよ!?と強い衝撃を受けたものでした。
そういう古い考えの人はどこにでもいるものですが、その後に高校に入学した時にもやはり存在していて、ぼくの通った高校は通学に使うカバンに特に規定がなく、多くの生徒はリュックサックで通っていました。
するとある時、かなり年配の女性の先生が
「まったく、最近の子は山に登るような格好で学校に来て・・・」
とボヤいていたのですが、ぼくの高校の女子の制服はセーラー服だったので、どちらかいうと海に行くような格好なんだけどな~と思わず心の中でツッコんでしまったものでした。
今後ともよろしくお願いします。
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父の日
2018年06月17日