岡山県倉敷市阿知1-8-10 武部不動産ビル2F 倉敷 駅のほとりの心療内科 まくらぎクリニック

クリニックブログ

2014年09月30日

少年時代には少し背伸びをしながら早く大人になりたいと願っていたのに、大人になるといつまでも少年の心を失くしたくないと願っている・・・
人間なんて全く勝手な生き物です。今やぼくもすっかり大人になってしまい、気付けば本音の見えない建前だらけの世界で、隙を見せないやりとりに追われる日々・・・
どう考えても疲れてない相手に、
「お疲れ様でーす」
とか平気で口走ることに何だか疲れてきてしまいました。
別に大きいわけでもないのに、
「大人」
として扱われることへの違和感も何だか麻痺してきてしまいました。
そんなわけなので、ちょっと前に香川で知り合った友人が倉敷に遊びに来てくれた時は意外で、いい意味での驚きがありました。
大人の社交辞令の世界だと
「行けたら行きます」
なんてのは、
「行く気ないです」
という意味とほぼイコールです。
その人との会話も
「今度、倉敷に遊びに行きますよ」
「いや~楽しみに待ってますよ」
みたいな大人の雰囲気だったので、まさか彼が少年のように本音トークをしてくれていたとは思いもしませんでした。
彼は神奈川県生まれで年は少し上で、蕎麦をこよなく愛するオッサンです。昨年に仕事で香川県へ異動となり、完全なうどん社会にたった1人で立ち向かい蕎麦愛を貫き続けている姿は、あのランボーを彷彿とさせます。
「ヨネスケみたいに来ちゃいました」
が倉敷に来た彼の第一声だったのですが、正直なところ意味はよく分かりませんでした。しかし大人のエチケットとして愛想笑いをしている自分にふと気付き、
「大人になったな~」
と心の中で苦笑いしてしまいました。
彼にどこに行ってみたいかを訊くと、
「どこでも大丈夫です、岡山のことは桃しか知りませんから」
とのことで、ランボーの武器並みにシンプルな予備知識しか持たずに倉敷に乗り込んできたようでした。そこでとりあえず、オッサン2人で美観地区へとぶらり繰り出してみました。特にあてがあるわけでもなく、まるで少年時代のように気ままで、とても自由で心地良く感じられました。
かつて少年時代は、美観地区なんて退屈な観光地でしかありませんでした。しかし今や、その風情や趣きを悪くないと思ってきている自分がそこにはいました。そして適当に歩いていると行列の店があり、『清水白桃ジェラート』が看板メニューの店のようです。
彼の唯一の岡山のイメージでもあったので、協議の結果それを食べてみることにしました。しばらく行列に並んで順番が来たので注文しようとすると、シングルかダブルか選べるとのことでした。
「うーん、ダブルにしときますか?」
とぼくが確認すると、
「ちょっとキツイんじゃないですかね?」
という彼の提案により結局シングルにしました。
それはシングルでも相当に大きく、ダブルにしなかったのは正解でした。それどころか
「2人でシングル1個でも十分だったのでは?」
というほどのボリュームでしたが、ただそれだと、オッサン2人でジェラートを仲良くシェアしている姿は絵になりません。店内で食べていたら営業妨害になりそうだし、外で食べていたら迷惑防止条例で捕まるかも?というわけで、1人シングル1個がやはり正解で、彼の実にナイスな提案に救われました。
そんな風にして美観地区から帰ってきて、
「楽しかったです。また来ますよ、ヨネスケみたいに」
が倉敷での彼の最後の言葉でした。
今度はさすがにおかしくなって、ぼくは心の底から自然に笑っていました。
相変わらずに、意味はよく分からなかったのだけど。
今後ともよろしくお願いします。

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