実はぼくはチョコレートがあまり好きではないのですが、少し前に珍しくチョコを食べていた時期があります。
なぜかというと理由は簡単で、セブンイレブンで指定のチョコを買うと名探偵コナンのクリアファイルがもらえるという企画があったからです。3種類全てをコンプリートするためにはチョコを3個買わねばならず、それで久しぶりにチョコを食べるはめになったのでした。
その最初の時、しるしの付いた指定のチョコの中には食べたいものが見つからず、
「クリアファイルがもらえるのって、しるしの付いてるチョコだけですよね?」
とレジにいたおばちゃん店員に尋ねてみたところ、
「ん?ああ、チョコならどれでもいいよ」
という実にテキトー、もとい超フレキシブルな神対応をしてもらい、自分好みのチョコを買った上でクリアファイルを手に入れることができました!
そして別の日に再び同じコンビニを訪れるとそのおばちゃん店員は不在で、レジにいた若い女の子に同様の質問をぶつけてみたところ、
「決まったチョコだけです」
とけんもほろろに血も涙もないお役所的対応をされてしまい、ああ融通だらけのゆる~いおばちゃんって素晴らしいなあと改めて実感したものでした。
そんなわけで今回は最近出会った3人の素敵なおばちゃん列伝です、はじまりはじまり~
まず最初は、たまに利用するパン屋で出会ったおばちゃんです。
そこはトングとトレイを使って自由に選ぶタイプのパン屋なのですが、ぼくがレジに並ぶと前ではおばちゃんが支払いをしているところでした。
「あと1個パンを買ってもらったら、ポイントが多く入りますよ」
と店員さんから教えられたそのおばちゃん、
「え!?」
と声を出したかと思うと一瞬で向きをかえ、鼻息も荒くドタドタとパンのコーナーにあっという間に移動してしまいました。
もちろんトングもトレイも持っていない状態で、
「言って下さればこちらでお取りしますよー」
想定外の展開に驚きつつも必死で叫ぶ店員さんの声もむなしく、おばちゃんはワイルドに素手でパンをつかみ取ると、そのままやはりドタドタと走って戻ってきた時にはちょっとした感動を禁じ得ませんでした。
トングを使わないとはパン屋でのマナーとしていかがなものか?という意見もあるかもしれませんが、勢い的にはパン食い競争のように口にくわえて戻ってきても不思議ではない程だったので、個人的には手を使ってくれただけで十分なような気がした次第です。
それから次は、これまた時々立ち寄るスーパーのレジのおばちゃんです。
そのスーパーには雑誌と新聞のコーナーもあり、雑誌の立ち読みはともかくとして、新聞の立ち読みは普通の感覚ではできないと思うのですが、まれにやっている人を見かけるたびに強靭なメンタルだな~と感心しています。
ある時ぼくがそのおばちゃんのレジに並んでいると突然、
「新聞の立ち読みはおやめ下さ~い」
え?店内放送?と間違えてしまいそうな程の大きな声で彼女が叫び出したので、新聞のコーナーの方を見てみました。
すると新聞を立ち読み中の男性がいきなり店中の大注目を浴びることになり、オロオロしているところでしたが、
「新聞の立ち読みはおやめ下さ~い」
「新聞の立ち読みはおやめ下さ~い」
「新聞の立ち読みはおやめ下さ~い」
とその後もおばちゃんは容赦なく連呼し続けていたので、その男性は慌てて新聞をたたんで元に戻すと逃げるようにして店から出て行きました。
ついでに雑誌の立ち読みをしていた人たちまでいたたまれなくなってしまったのか、同じようにそそくさと店から逃げるようにして出て行ったのが少しお気の毒でした。
そして最後は、電車に乗っていた時に見かけたおばちゃんです。
クロスシートの電車で車内は満員、立っている人もたくさんいるというのに、通路側のとなりの席に荷物を置いて2人分の席を占領している人がいました。
こんな時に自己主張がきちんとできる人なら、
「ここ座っていいですか?」
とでも言って荷物をどけてもらい座るのでしょうが、やはり多くの人は我慢して立っているという状況でした。
そこに別の車両からおばちゃんが入ってきて、歩きながら空いている席を探していました。
そして、ついにその荷物が置かれた席に気付いたようでしたが・・・
なんと彼女は荷物の上から堂々と座ってしまったものですから、驚いたのはとなりにいるその荷物の持ち主です。
慌てておばちゃんのお尻の下から荷物を引き抜こうとするも、重量感あふれるお尻に圧迫されているためピクリとも動かずに苦労していると、
「あら、失礼」
といった感じで彼女が少しだけお尻を上げてようやく、なんとか荷物を助け出すことができた時には、
「おばちゃん、ありがとう!」
的な拍手喝采が車内に響き渡ったような気がしました。
やっぱり、おばちゃんは偉大ですね。
今後ともよろしくお願いします。