岡山県倉敷市阿知1-8-10 武部不動産ビル2F 倉敷 駅のほとりの心療内科 まくらぎクリニック

クリニックブログ

潮騒

2018年03月01日

この間ラーメンを食べに行った時のことです。
時は深夜、店内はぼく一人、カウンターで注文の品を待っていると、男性客が一人入ってきて、1つ空けて2つとなりの席に座ったのですが・・・
それはちょっとした驚き、というよりも不快感といった方が正確だったかもしれません。
なぜならカウンターは片仮名のコの字型になっていて、客はぼくが一人コの字の下の横線の左端の席にいるだけの状態であったので、普通に考えれば上の横線か縦線のどこかを当然選ぶと思いこんでいたからです。
しかし彼はそんなことには全くおかまいなしで、席につき注文を終えるとスマホを取り出し、ずっとそれをいじって時間をつぶしていました。
なおその店のスープは魚介系なのですが、なんだかんだで個人的にはラーメンのスープは魚介系が一番好きです。
間もなくしてぼくのところにラーメンが運ばれてきたので、まずはスープから飲み魚介系のラーメンを美味しく食べ始めたのですが・・・
しばらく経ってから強く感じたのは、なぜかこの日はいつも以上に魚介系のラーメンの魚介感とでもいうのか、つまりは磯の香りというか、もっと大きく表現するなら海そのもののイメージでした。
しかし今日に限って一体どうしてなんだろう?と気になったので、箸を休めて周りに注意を払ってみると、どこかから潮騒の音が、正確にいうと潮騒の音のような音が聞こえていることに気付きました。
おそらくはこの音がぼくに海を体感させた原因であることは間違いなさそうでしたが、しかし店内にはBGMなど流れていません。
「はて?」
と改めて疑問を抱き周囲を見渡してみると、なんのことはない、すぐさまその謎は氷解しました。
謎の音の発生源は前述の2つとなりにいる男性からで、彼が麺をすするたびにあたかも潮騒のごとき音が発生しているのでした。
またまた~大げさなんだから~
と話を盛っていると思われたら残念なのですが、これは正真正銘のノンフィクションです。
はっきり言ってしまってぼくは、これまでの人生でこんなにうるさく麺をすする人に出会ったことはありませんでした。
日本人が音を立てて麺をすすることに対して、しばしば外国人がマナーが悪いと苦言を呈していることには嫌悪感しかありませんでしたが、この時初めて彼らに少しだけ共感できたような気がしました。
ちなみに彼の麺のすすり方は実に独特で、まずは丼の縁を越えない高さで箸を使い麺をつかむと、次に頭を下げ口をぴったりと丼の縁につけ、そこから箸を口まで運び凄まじいパワーで一気に麺を吸引するというものでした。
麺を箸で高く持ち上げてすすると麺にからんだスープが服に飛び散りやすく、できるだけ低い位置で麺をすすった方がスープが服に飛び散りにくいというのはもちろん理解できるのですが、しかしその究極とも呼べるこの食べ方には正直びっくりしてしまいました。
それと老婆心ながら心配になったのは、こんな食べ方では服は汚れないかもしれませんが、人として取り返しのつかない汚点が残ってしまうのでは?ということでした。
ところでぼくにとって麺類を食べるという行為は、飛び散るスープをかわしながら食べるという点では一種のスポーツという位置付けなのですが、彼にとっての麺類を食べるという行為は音を奏でるという点で一種の即興演奏的なパフォーマンスという位置付けであり、となると麺そのものはさしずめ一種の楽器、しかも吸って音を発生させるという極めて珍しい楽器のような存在なのかもしれないと思ったりもしました。
というわけで潮騒をバックに海を感じながら食べる魚介系ラーメンはなかなかオツなもので、結果としてはなんだか得しちゃった気分でした。
今後ともよろしくお願いします。

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