現在のぼくの愛車にはカーナビが装備されていないため、カーナビが必要であればスマホをつないでapple car playというシステムを使わなければなりません。
すると困ったことにこのカーナビ、なんと起動させると勝手に行先を提案しそこまでの案内を開始しようとするものだから、最初は本当に戸惑ってしまったものでした。
まず根本的な疑問としては、その提案してくる行先の根拠は何なのか？ということが挙げられましたが、少しずつ経験を重ねていく中で、どうやらその出発する曜日や時間に最もよくいる場所をスマホが把握していて、そこを行先として提案してきていることが、なんとなく分かっていきました。
だとすればこれはとんでもない機能であり、家族には秘密のいかがわしい場所が家族を車に乗せた時にいきなりカーナビから提案されたら家庭崩壊のきっかけになるかもしれないし、それになにより自宅から出発する時に行先として自宅を提案してくることも珍しくなく、その迷惑千万のお節介ぶりには思わず呆れるより他ありませんでした。
というわけでこのジャマな機能がどうにかならないものかとアップルに問い合わせた結果、Siriが諸悪の根源であったことが判明し、スマホの設定を変更することによりその後は勝手に行先を提案されることはなくなりましたが、思っていた以上にSiriのAIとしての機能が広範囲に渡っていたことが分かり、気味の悪さを感じてしまい以降はSiriの機能は最小限にしています。
さて、ぼくが通っている散髪屋は予約制なのですが、ある時車を駐車場に置き店に向かっていたところスマホがないことに気付き、思い当たるところを一通り探したものの見つからず、しかし一方では予約の時間が迫っていたためスマホはあきらめて中に入ることにました。
そして席に着き担当のオッサンに
「スマホが見当たらなくて探していたら遅くなっちゃいました、結局出てこなかったので忘れてきたみたいですね」
と予約時間ギリギリになった理由を説明すると、
「ん！？たしか車にカーナビがないからスマホをつないでるんじゃなかったっけ？」
と的確に指摘されてしまい、そこで時間をもらって車に戻ってアームレストの下にあるボックスを開けてみると、その中にUSB端子で車に接続されているスマホを発見した、というお恥ずかしいことがあったものでした。
そして先日に散髪に行った際も、途中で手持ち無沙汰になる時間があり、スマホでも見ようかと思いポケットをまさぐるとそこにはなかったので、
「いや～前にもスマホを車につなげたままで来たことがあったんですけど、またやらかしちゃったみたいです」
とオッサンに話すと
「そりゃ車用にもう1台スマホが要るな」
と返されたのでそれはさすがにちょっと・・・と苦笑いで応酬するしかなく、その後の散髪は順調に終わり車に戻りました。
その日も実にクソ暑い日だったので、車内に忘れてきてしまったスマホに申し訳ない気持ちになり、急いで居場所であるアームレスト下のボックスを開けたところ、
・・・なんとそこにはスマホがありませんでした。
あれ？じゃ散髪中にイスにでも落としたのかな？と思い店に戻ると、いつもは陽気なオッサンが心なしか険しい表情で、
「これがイスに落ちていたけど・・・」
と手のひらに乗せて持ってきたのは、すぐにはその物体が何なのか認識できませんでしたが、よく見ると変わり果てた姿のぼくのスマホではありませんか！
ディスプレイは粉々に砕けてヒビが入り、ボディもひん曲がった上に一部が裂けて中身が見えていて、それはもはやドラゴンボールを集めても復活できそうにない程の悲惨な状態でした。
「イスの溝にはまってたんだけど、リクライニングしたりいろいろと動いているうちに力が加わって、こんなになったんだと思うわ」
「え！？しかし、いくらなんでもこんなになっちゃうものなんですか？」
「ああ、なるなる。昔の折りたたみ携帯だったら引きちぎれることもよくあったし、まあ一種の散髪屋あるあるだな」
「そ、そうなんですか・・・」
オッサンには悪びれる様子は全くなく、むしろ逆に険しい表情からはイスがスマホのせいで不具合が生じていたらどうしてくれるんだ？と責められる可能性もなきにしもあらずだったので、あわててその場を去ることにしました。
ただスマホなしではとても生きていけそうになく、帰りにそのままどこかショップに行って機種変更をする決意を固めたのでした。
長くなってきたので、今回はこの辺りで終わりです。
次回もよろしくお願いします。