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クリニックブログ

脱・結果論

2019年08月18日

雑誌「デザインノート」の最新号が、原研哉特集だったので思わず買ってしまいました。

原研哉さんは無印良品のアートディレクションなど、幅広い領域で活躍する著明なグラフィックデザイナーで、なんと岡山県の出身です。
3年に1度の瀬戸内国際芸術祭のポスターも毎回手がけられていて、2013年に氏のサイン入りポスターを歳末助け合い美術展で落札できたのですが、個人的には2013年度版が今振り返ってみても最も好きなデザインなのでラッキーだったな~と思います。
それはともかく同じ体験を持つ人は意外に多い気がしますが、原さんを初めて知ったのは彼の高校時代からの友人である作家・原田宗典さんのエッセイの登場人物としてであり、よく読んでいた90年代はまさかこんなにビッグに、よもや原田さんよりも知名度が上になるとは考えもしませんでした。
ちなみに原田宗典さんの妹さんは、今や作品を出せば必ずなんらかの賞にノミネート、もしくは映像化される作家・原田マハさんですが、彼女もそのエッセイに何度も登場していました。
原田さんはエッセイでは人気を博していたものの、残念ながら小説の方では今一つ結果を残せませんでしたが、あの妹さんがここまでの売れっ子になるとは予想だにしていませんでした。
ついでに追い打ちをかけるように、ムネノリという名前の著名人ランキングにおいても、大リーグでも愛された川崎宗則選手に抜かれてしまう始末・・・
そういえば数年前に、仕事帰りにイオンモール岡山の本屋に行くと、「でーれーガールズ」の映画化を記念した原田マハさんのサイン会が開かれていました。
店員さんに訊くとまだ参加できるということだったので、速攻で対象の文庫本を購入し会場に行くと、マハさんが本にサインをしてくれる間に話ができるとのことでした。
といっても話したいことが特にあったわけではなく、どうしようかとかなり迷った結果、
「○○子さんですよね」
と本名で呼んでみることにしました。
すると彼女のサインをする手がピタリと止まり、固まった表情のまま顔を上げ
「どうして知ってるんですか・・・!?」
と驚きを隠せない様子だったので、
「お兄さんのエッセイに出てましたよ」
とあっさりネタばらしをすると、その手があったか~といった感じで苦笑いを浮かべていたのが印象的でした。
そんなわけで、マハさんは本名を内緒にしておきたい様子だったので、忖度してここでは伏字にしておきます。
興味のある方は、ぜひ原田宗典さんのエッセイを読んでみて下さい。
たとえば新潮文庫の『吾輩ハ苦手デアル』は、前述の原研哉さんが解説を担当していてお勧めです。
で、1600円+消費税も出して買った「デザインノート」の原研哉特集で最も感動したのは、コンペには出したものの最終的には選ばれなかった、東京五輪エンブレムの造形プロセスがスケッチの段階から赤裸々に公開されていたことでした。
結果よりも過程の方が大事といいながらも、現実的にはこの世は結果論が大手を振って歩いており、それこそ渋野日向子選手の笑顔や駄菓子にしても、結果が伴っていなければ逆に非難すらされた可能性があります。
決してそうではなく、もっと過程を大事にできればとは願うものの、人生なかなかそう簡単に思うようにはいきません。
ぼくはもう軽く10年以上墓参りには行っていませんが、本心から墓に参りたいとは思いませんし、逆に参ってほしいとも・・・きっと思わないでしょう。
個人的には墓とは単なる結果にすぎず、それよりは生きてきた過程を大切にしたいと考えています。
実はこのブログでも最後のオチに当たる部分は所詮おまけで、そこに至るまでの過程にこそ心を砕いているつもりです。
なお、自身の文章に最も影響を与えた作家を一人だけ挙げるとすれば、それは原田宗典さん以外には考えられず・・・たとえば「新たなる回路」という回の冒頭「そんなのイヤン」などは、かつての愛読により原田節が脳内にこびりついてしまった結果で間違いありません。
今後ともよろしくお願いします。

 

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