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意外と知らない災害時の医療費の仕組み

2018年10月31日

最終的には途中で退部してしまったのですが、中学時代の水泳部の顧問の先生は酷い男でした。
見た目は-人を見た目で判断するのはあまり褒められたことではありませんが、この人の場合に限ってはそのまんまだったので全く問題はなく、外見の醜さと中身の愚かさが極めて高次元の熾烈なデッドヒートを繰り広げていました-よく言えばシュッとしたスマートなゴリラ、悪く言えばガリガリの貧相なゴリラで、要はどちらにしてもゴリゴリのゴリラ顔で、仮に彼が海上保安官であったならば、きっと海猿ではなく海ゴリラと呼ばれたに違いありません。
なお彼の本職は体育の教師で、ある時こんな出来事がありました。
たしか中学2年の体育の授業中、I君の股間にサッカーボールが強く当たると、彼はそのまま倒れこんで悶え苦しみ始め、もはや瀕死の状態でした。
生徒たちはすぐに彼の周囲に駆け付けましたが、その尋常ではない痛がりっぷりには、
「これは・・・ひょっとすると両方とも割れちゃったかも?ってことはIは男としてはもうダメなのでは?」
など本気で考えたりしながら、ヒソヒソと噂話をしていました。
するとそこにようやく、くだんのゴリラ顧問がのそのそとやってきて、脂汗を浮かべながら悶絶中のI君に向かってひとこと。
「おいI、安心しろ。お前が将来結婚したら、夜だけわしが行っちゃるから」
その時ぼくの脳裏に浮かんだのは、顧問の父親が本物のゴリラに下半身を襲われて機能不全となり、以降は夜な夜な母親の元をゴリラが訪れている場面で、それならばあのハリウッドの特殊メイク顔負けのゴリラ顔も納得と合点したものでした・・・
そんな顧問でしたがある水泳大会の日、半分を経過した時点でぼくのいた中学がトップであることが分かると、
「お前ら、もし優勝したら、メシ奢ってやるわ!」
と皆の前で宣言し、部員の士気を鼓舞してくれたのは完全に意外で、外見だけで人を見下していた自分を大いに反省した次第です。
その効果かどうかはともかく、大会の方は最後のリレーでも勝利を収め、なんとわが中学は優勝してしまいました。
もちろん優勝という事実に純粋に喜び、部員同士でその感動を分かち合った後で、そういえば本日の優勝にはご褒美があったことを誰からともなく徐々に思い出し、スポンサーもとい顧問のゴリラ顔を探したのですが・・・
敵もさる者というかゴリラ者、ものの見事に影も形も見えなくなっていた芸当には、怒りを通り越して呆れることすら超越して、逆に感動さえ覚えたものでした。
さて今年7月の豪雨災害で被災された方の医療費については、条件を満たしていれば免除又は猶予となるため窓口での支払いは不要という通知が、厚生労働省をはじめとして医師会など各方面から届いていました。
当院では罹災証明書を持参された方が10人程いましたが、そのお達しに素直に従って窓口での支払いはしてもらいませんでした。
実はぼくも災害救助法が適用されるような、大規模災害時の医療費の取り扱いについては今回が初めてで全くの無知だったのですが、免除又は猶予となる窓口での本来の負担分を代わりに払ってくれるのは、なんと国ではなくて公的医療保険ということを知った時には心底驚いてしまいました。
公的医療保険について簡単に説明しておくと、公的医療保険には主に中小企業の協会けんぽ、主に大企業の健康保険組合(以下健保組合)、公務員の共済組合、自営業などの国民健康保険、後期高齢者の後期高齢者医療制度などがあり、これらを「保険者」と呼び加入者を「被保険者」と呼びます。
今回の豪雨災害について厚生労働省の通知を見てみると、災害救助法が適用される地域に住んでいる人が一定以上の被害を受け罹災証明書を持っていれば、国民健康保険、後期高齢者医療制度、協会けんぽでは窓口での支払いは免除となっていますが、健保組合では一部の健保組合で免除又は猶予、共済組合については日本私立学校振興・共済事業団のみが免除で残りは猶予という扱いでした。
健保組合で免除又は猶予の対応をしている保険者がどれくらいの割合なのかは不明ですが、該当する保険者のリストは厚生労働省のウェブサイトで公表されているので、その都度医療機関は確認していかないとならないようです。
しかし実際にはそんなことをいちいち確認できる余裕があるわけもなく、罹災証明書を持参した患者さんからは支払いはしてもらわずに対応していたところ、中国しんきん健康保険組合という健保組合から
「ウチは免除とか猶予とか、そういうのやってないから」
と保険請求の後で突き返されて戻ってきたのはビックリでしたが、おかげで災害時の医療費の仕組みについて理解することができたので、皮肉でもなんでもなく感謝すらしている程です。
そりゃ健保組合の現状を考慮すれば、致し方のないことです・・・
普段から健保組合以外の保険者は国からの補助があるのに対し、孤立無援の健保組合が自力のみでやっていくのは本当に大変だと同情すらしてしまいます。
ちなみに法律だと、健康保険法第75条の2に
「保険者は、災害その他の厚生労働省令で定める特別の事情がある被保険者であって、保険医療機関又は保険薬局に第七十四条の第一項の規定による一部負担金を支払うことが困難であると認められるものに対し、次の措置を採ることができる。一 一部負担金を減額すること 二 一部負担金の支払を免除すること 三 保険医療機関又は保険薬局に対する支払に代えて、一部負担金を直接に徴収することとし、その徴収を猶予すること 」
とあるのですが、”採ることができる”ですからね、別に採らなくても誰にも文句を言われる筋合などありません。
日本私立学校振興・共済事業団以外の共済組合はこういう非常時にずいぶん冷たい対応のように見えますが、それは共済組合が健康保険法ではなく共済組合法という独自の法律に基づいているからです。
しかし厚生労働省のウェブサイトだと「免除又は猶予」とあり、免除と猶予がまるで同格のような扱いに見えてならないのですが、当事者からすれば天と地程の差があるのは明らかで、自分の加入している保険が免除なのか猶予なのか、もっと分かり易い仕組みにしなければいけないと思います。
それでは今回の豪雨災害の医療費について過去の大災害と比較してみると、「阪神・淡路大震災」と「東日本大震災」では、期間は異なるものの全ての保険者で免除が認められていました。
おそらく中国しんきん組合でも共済組合でも免除があったのでしょうが、その免除分の補填はもちろん国の負担です。
ところが「熊本地震」では全ての保険者で猶予は実施されましたが、免除となったのは国民健康保険、後期高齢者医療、協会けんぽ、共済組合の中の日本私立学校振興・共済事業団に限られました。
一方「平成30年7月豪雨」では前述のとおり猶予すらしない健保組合も存在したわけで、「熊本地震」よりも残念ながら手薄な対応だったことになります。
いずれにしても前2者に比べると国からのサポートが見劣りしたことは否めませんが、そういえば「阪神・淡路大震災」の時は社会党、「東日本大震災」の時は民主党、そして「熊本地震」「平成30年7月豪雨」では自民党が政権与党なので、国民が本当に困っている時にどんな手を差し伸べてくれるのか、災害は時の政権の本心があぶり出される又とない機会です。
個人的には、それくらい出してくれてもいいのでは?というのが率直な意見で、そんなところが契機となり、約束を破って逃走したゴリラ顧問のことを久しぶりに思い出したわけです。
しかしそれにしても、水泳部の顧問の先生は酷い男でした。
中学時代には長渕剛氏の「とんぼ」というドラマが流行していたのですが-ヤクザが主人公のバイオレンスな作品です-、なんとこのゴリラ顧問は長渕剛氏演じる主人公に感化されてしまい、日々の言動がモロに影響を受けていったのだからさあ大変です。
学園ものの教師の影響を受けるならいざ知らず(それはそれで十分に迷惑な話ですが)、教師がヤクザもののヤクザになりきって生徒を蹴りまくるなんて本当に地獄絵図でした。
今後ともよろしくお願いします。

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