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メッセージ

2015年12月23日

メッセージ。
念のために一応断っておくのですが、今年話題になった連続転落死の老人ホーム・アミーユを運営する会社「メッセージ」(岡山県岡山市)のことではありません。
今回はRSKという地方局で自社制作されているドキュメンタリー番組「メッセージ」のことで、古くからの友人が「ヤツが出るらしいぞ」と教えてくれたので、どれどれと先日の放送を見てみました。
その結果・・・数十年の時を経て、テレビ画面越しでしたが久しぶりにヤツと再会してしまいました。
ちなみにそれは『創ろう!教育県~子どもたちに生きる力を~』という回で、先程から失礼にもヤツ呼ばわりしているヤツとは一体誰かというと、その回に出ていた人々の中の一人で職業は教師です (今はこれがせいいっぱい ・・・by ルパン)。
ぼくのいた中学校に英語教師として彼女が赴任してきたのは、忘れもしない3年生の時でした。
彼女は最初の授業の時から競歩選手のように一挙手一投足が実にせわしなく、やたらと気合いが入っていることだけはひしひしと伝わってきましたが、なんだか面倒な人が来ちゃったな~というのが正直な第一印象でした。
すると突然に彼女がわめき散らし始めたので、ぼくは思わず呆気にとられてしまいました。
というのも叫んでいる内容はまったく聞き取れず、なぜ目の前の中年英語教師がこんなにも興奮しているのかが皆目見当つかなかったからです。しかし彼女の視線は窓際の席のA君に向けられていたので、どうやら彼が窓の外を眺めていたことが原因ということがなんとなく察せられました。
なおこれは徐々に分かっていったことなのですが、彼女は激高すると異常なまでの早口になり、もはや言語としての原型はとどめなくなるため、そのわめき散らす様は「咆哮」という人間離れした表現がふさわしかったように思います。
そんな彼女が後に出世して偉くなっているというのは風のたよりに聞いてはいましたが、まさかこんな大きな教育フォーラムに呼ばれるまでとはちょっとした衝撃でした。
ただぼくには、もし今、彼女に会う機会があるのならぜひ訊いてみたいことがあります。
それは・・・
その前に、当時の彼女がどんな授業スタイルだったのかを説明しておかねばなりません。
彼女の授業は、というか教育方針は、「宿題を死ぬ程出してやってこないと即暴力」という実にシンプルなものでした。
今授業でやっている教科書の全文を5回以上、新しく出てきた英単語を10回以上、それぞれをノートに書いてくるといった感じの宿題が毎回のように出され、忘れようものならその数に応じて容赦のないビンタ地獄が待っていました。
当然のように授業は次第に張りつめた重苦しい雰囲気に支配されていきましたが、授業終了後も彼女はそのまま教室の前に残り宿題のチェックをやっていたので、生徒は休み時間もろくに息抜きすることができず本当に迷惑していました。
そんなわけで彼女の宿題チェックは非常に限られた時間しかなかったので、書く回数を適当にごまかしてもまずバレないだろうと考えるようになっていったのは極めて自然な流れだったと思います。
徐々に教科書の全文を書く回数を1回減らしてみたり、いろいろと工夫を凝らして手抜きを皆がし始めた頃、彼女に対する恐怖心を決定的なものにする、あの事件が起こってしまいました。
「おいK、ちょっと来い!」
彼女は赤ペンの手を止めてK君を前に呼び寄せると、
「お前、これ少ないじゃないか」
とK君に詰め寄りました。
K君はといえばもうすでに顔面蒼白になっており、なんとか立っているのがやっとのようでした。
「○△☆*卍◇!」
同じ人類のものとは到底思えない咆哮とともにK君の腹部に見事な回し蹴りが炸裂すると、そのあまりの切れ味は彼の胴体の一部がだるま落としのように飛んでいったかと錯覚してしまう程でした。
そうこうしている内に休み時間も終わりに近づいたので彼女が教室から出て行くと、床にはエビのように背中を丸めた瀕死のK君が残されぴくぴくと悶えていました。
それを見た日からおそらくクラスの誰もが、もう宿題をごまかすことはやめようと心から強く決意したに違いありません。
さて、そんな風にして圧倒的な暴力により、彼女の授業は徐々に収容所のような抑圧された閉塞感の中で行われるようになっていきましたが、そんなある日のことでした。
「ちょっとあんた、社長座りしないでくれる?」
クラス中をせかせかと歩き回りながら音読する彼女にそう注意されたのは、ぼくの前の席にいるO君でした。
O君は不意を突かれて耳がまっ赤になっていましたが、慌てて組んでいた足を戻しているところからすると、足を組んでいたのが逆鱗に触れてしまったようでした。
しかしそれにしても、足を組んで座るのが社長座りって・・・と考えると妙におかしくなってしまい、
「プッ」
と気付けば吹き出してしまっていました。
「おい、今なんで笑った?」
うげっ!
どうやら目ざとく見つけられてしまったらしく、残念ながらターゲットは一瞬でこっちに移ってしまったようです。
「いやその、社長座りっていうのが・・・」
「はあ!?」
そこからの彼女はいつものように咆哮モードに入ってしまったため、何を言っているのかをリスニングすることはとてもできそうにありませんでした。しかし彼女がひどく気分を害してご乱心中ということだけは確実に伝わってきたので、言語なんか使わなくても人は喜怒哀楽を相手に届けられるということを身をもって実感することができました。
ひょっとしたらそれこそが、英語教師としての彼女からのメッセージだったのかもしれません。
というわけで、もし今、彼女に会う機会があるのなら、目の前でこれでもか!と何度も足を組みかえながら、
「先生、これって何座りって呼ぶんでしたっけ?」
と質問してみたいと思っています。
その際ぼくの身に何かあった場合には、このブログがダイイング・メッセージです。
今後ともよろしくお願いします。

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