岡山県倉敷市阿知1-8-10 武部不動産ビル2F 倉敷 駅のほとりの心療内科 まくらぎクリニック

クリニックブログ

そして時はやさしく流れて

2014年06月22日

「はたして間に合うのか、ブラジル?」
なんて開催が心配されていましたが、何とか間に合ってしまいましたね、2014 FIFAワールドカップ。実は当院もオープン前はそんな感じで、ギリギリまでバタバタしていました。そんなわけで決して他人事とは思えず、いつも以上の親近感で楽しんでいます。
なお当院がブラジルと違った点は、何とか間に合って・・・
しまわなかったことです。
いちおう予定通りにオープンはしましたが、まだやり残したことがある中での出発でした。しかしそれでも大きな問題もなくスタートが切れたのは・・・
正直に書くと泣いてしまうかもしれないのでご想像にお任せします。
開院後もしばらくは誰にもジャマされずに、のんびりと開院準備に専念できてしまいました。
が、時はやさしく流れてくれ、そんな時代も今では素敵な思い出です。

以前に国立病院に勤務していた時、上司の先生がその年度末をもって定年で退官することになっていました。30年以上も勤務されていたので弟子も多く、退官記念の会を開き、みんなで労うことになったのですが・・・
ぼくが中心となって企画していくことになってしまいました。その際に力を貸してくれたのはM先生という2つ上の先輩で、何かと相談に乗ってもらいとても心強い存在でした。
当時、岡山大学の某教授が教授就任5周年の宴を、製薬会社の力も借りて派手に催しました。その上司の先生もその宴に参加していたので、
「30年以上の退官記念が、たかが5年の就任記念に見劣りすることがあってはならないと思う」
と助言してくれたのも、M先生でした。しかし、こちらは製薬会社からのサポートはなく、あるのは参加する人たちからの会費だけです。どうしたものかな?と思案しつつ、ホテルを予約し、ホテルの担当者と会い、部屋や料理などの打ち合わせをしましたが、
「一番いいやつで」
を合い言葉に決めていきました。
当時のぼくの経済観念は
「あ~もう面倒だから、どんぶり勘定で。ところで、どんぶり勘定って何?」
というぐらいテキトーなものだったので、
「ん~1万と2万の間で、1万5000円だな」
と会費も何となく決めて案内状を発送しました。
するとS先生から電話がかかってきて、
「先生、会費が高いよ。こういうのは普通1万円だよ」
とクレームをつけられたりしましたが、
「くそ~携帯2台持ってること、奥さんにバラしてやる」
などと怒りを準備のエネルギーに変換して無事にその日を迎えることができたので、S先生には実は感謝しています。
当日は上司の先生の誠実な人柄のおかげで、それはそれは本当に温かい会となりました。
その温かさは、わずか5年とか製薬会社からの支援などに出せるようなものではなく、最初から争う必要なんてなかったのでした。
それからしばらく経っても、まだその会の温かい余韻に浸っていた頃、ホテルからの請求書が病院に届きました。中を見て計算したぼくは、全くのシラフだったにもかかわらず一瞬で酔いが醒めてしまいました。
赤字も赤字、15万円の大赤字だったのです。
さてさて、どうしよう?
と考えながらヨロヨロと徘徊していると、M先生にばったり出くわしました。クオリティについてあおったのはM先生だし、とりあえず赤字について話してみたところ、
「え?それは大変だね・・・でもいい会だったし、半分出してもいいよ」
と救いの手を差し伸べてくれました。
結局、その15万円はぼくとM先生の2人で払い、その時はこれは人生の黒歴史になるんだろうなと思っていました。
それからM先生とは互いに職場も変わりましたが、その後に2人で飲む機会が何度かありました。そんな時はどちらからともなく、
「そういえば、あの時の会・・・」
という話に必ずなったものでした。
「どうやったらあんな赤字になるんだよ」
「スミマセン」
のようなやりとりが続いても最後は、
「でも、やって良かったよね」
と笑顔で終わるのが、いつしかお決まりになっていました。
時がやさしく流れた後に残ったのは、意外にも温かい思い出だけだったのです。
そして時はやさしく流れて、その後にM先生とその思い出を肴に飲んだ思い出も加味されていき、今ではたとえアルツハイマーになっても忘れたくない大切な思い出の1つです。
今後ともよろしくお願いします。

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