岡山県倉敷市阿知1-8-10 武部不動産ビル2F 倉敷 駅のほとりの心療内科 まくらぎクリニック

クリニックブログ

時には真面目な話を

2012年11月20日

実は今でも、”真面目”か”真自面”か分からなくなる時がよくあります。
漢字は難しいですね。
さて、開院の前後で訪れた変化の1つに買い物があります。
これまではレシートなんて全く無関心だったのに、”私の青春を返して!”ぐらいの勢いで領収書をもらうようになりました。
今でこそ「お疲れ様です」と余裕で口走る大人に成り下がってしまいましたが、かつて筋斗雲に乗れるぐらいピュアだった大学生の頃には、
「”お疲れ様です”とか平気で使う大人にだけは、絶対にならないもんね」
と星に誓ったものでした。
それがまさか領収書までもらうようになるとは、さらば筋斗雲!ようこそ領収書!です。
そんな領収書ライフで実感するのは、漢字でお困りの人が結構いるってことです。
”掃除機” 事件*、”文房具” 騒動** では、店員さんにずいぶんと迷惑をかけました。
枕木ではなく平仮名でまくらぎクリニックにして正解だったと、改めてホッとしています。

このブログでは基本的に親しみやすそうなテーマを扱ってきたつもりですが、ここらでそろそろ、真自面、ではなく真面目な一面も見せておこうと思います。
”最近、発達障害の人が増えています”と、メディアが伝えるようになり早数年。
発達障害というのはざっくりとした表現で、その中で分類がいくつかあります。それぞれに特性があり、対応の仕方も異なるので、もう少し細かい診断名でないと実際にはあまり意味がありません。
発達障害の中で最も話題になることが多いのは、”広汎性発達障害”という一群です。広汎性発達障害はさらにいくつかに分類され、最も重いタイプが自閉症であり、最も軽いタイプにはアスペルガー障害があります。一般的に症状が軽ければ軽い程、発見されることもなく見逃されてしまいます。その結果、”ちょっと変わった人”としてクラスや職場にいるわけですが、彼らの多くが持っている特性の1つに”相手のことばの真意が分からない”というのがあります。たとえば、というまさにその”たとえ=比喩”が苦手であったりします。もっと頭を回転させるように言われ、ずっと頭を回し続けて目が回ってしまったり・・・その他にも、皮肉に照れてしまったり、冗談に本気で怒ったり、遠回しに言われたことを察することができなかったり、つまりはコミュニケーションに問題を抱えています。
数年前に診察室で出会った人-(症例『メロス』とします)-彼は20代後半の青年で、ある日上司と一緒に外来を訪れました。
とても暑い夏の日でした。
メロスは、「ちょっと、ひとっ走り行ってきてくれ」と取引先までのお使いを頼まれました。その後しばらくして、取引先から上司に電話がかかってきました。
メロスが取引先に汗だくで現れ、かなり遠いのに車ではなく走ってきたとの内容でした。
前々からメロスの言動に違和感を持っていた上司は、彼を病院に連れて行くことを決意し、受診に至ったというわけです。
診察の結果、メロスをアスペルガー障害と診断しました。
診断を上司に伝えることはしませんでしたが、比喩や皮肉が苦手な人は、ことばの表面的な意味と真意が違う時には真意を汲み取ることが苦手なことを説明しました。また、遠回しな言い方や抽象的な表現はできるだけ使わないようにお願いしました。
上司の方はメロスの特性を温かく理解して下さり、2人はメロスとその親友のように並んで帰って行きました。
「ってことは悪い王様になるの?」と、少し複雑な気持ちで彼らを見送った夏の黄昏を今も覚えています。

いよいよ衆議院が解散になりました。
”身を切る覚悟”と声高に叫ぶものの、全くその気配が見えません。
ひょっとしたら、たとえではなく本当にリストカットでもしてるんじゃないか?と心配してしまいます。もし握手する機会があれば、医師の使命として手首をチェックしておこうと思います。
そういえば昔、「皿洗いから始めるつもりで武者修行してくる」と言い残して渡米し、本当に皿洗いして帰ってきたという俳優がいました。たとえの説明をすることは恥ずかしいのですが、今回はテーマ上誤解があってはならないと思うので敢行します。
”筋斗雲”とは、ドラゴンボールという作品において、心が清らかな人だけが乗ることができる乗り物のことです。
筋斗雲に乗れなくなってしまった以上、メロスとまではいきませんが、自分のペースで目指すべきところへ走っていかねばなりません。
今後ともよろしくお願いします。

*  某家電量販店で、領収書に掃除機を書いてくれるよう頼み、それまで温和な表情だった店員さんを涙目にさせてしまった事件
**  某雑貨店で、領収書に文房具と書いてくれるよう頼み、それまで営業スマイル全開の女の子の仮面がはがれ、先輩店員も巻き込んで「ボウって何?」となってしまった騒動

 

 

 

 

 

 

 

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