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クリニックブログ

2016年09月13日

一般的に使われている言葉で実は正式な医学用語ではないものに、
「虫歯」→「齲歯(うし)」
「風邪」→「感冒」
「生理」→「月経」
などがありますが、医学部2年生の頃に先生から何か質問されて
「血」
と答えると、
「血ってなんだよ、医学生なら血液って言え。細菌のことをバイキンというのと同じだぞ」
とバカにされた時のことが強く印象に残っています。
というわけで今回のテーマは血、ではなく血液なのですが、巷で話題の『シン・ゴジラ』を観てきた影響は非常に大きく、はっきり言って激しくネタバレしているため
「どうかそれだけはご勘弁を」
という方、それと血液が苦手という方にもお勧めしにくい内容なので、そういった方々とは残念ながらここでお別れです、バイバイキ~ン!

しかしなかなか評判の良いこの作品、個人的にはいろいろと意見はありますが、今回はポイントを絞って最後にゴジラを倒す作戦について感じたことを、勝手気ままに書きつらねてみたいと思います。
「ヤシオリ作戦」というこの作戦を簡単にまとめると、ゴジラは熱くなった体を血液を循環させることにより冷却して生命を維持しているため、血液凝固剤を使って血液循環を悪化させ、冷却を阻止して退治してやろう!という作戦とぼくは理解しました・・・違っていたら申し訳ありません。
まず最初に「ん?」と思ったのは、もし本当に血液を凝固させることができるのならば、その時点で冷却うんぬんの以前にゴジラを倒せてしまうのでは?という疑問を持ったからでした。
なお、おそらく作り手の方々や、この作品を観た一般の方々の多くは、血液凝固剤を投与すると血液が血管の形に沿って固められるとイメージしているのではないかと推測しますが、実は血液凝固とはそういうものではないので注意が必要です。
それを説明するには血液についての理解が必要なので、手短に説明しておきます。
まず人間の血液は赤色ですが、あの赤色はあくまでも赤血球の色にすぎず、血液の液体部分の色ではありません。
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血液は有形成分である赤血球、白血球、血小板と無形成分=液体成分である血漿(けっしょう)に分けることができ、血漿の中にはいろんな物質があるのですが、その中の一つに凝固因子というものがあります。
凝固因子は血液が凝固する際に消費され、血漿から凝固因子がなくなった残りの液体が血清(けっせい)と呼ばれるものです。
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つまり血液凝固剤を使用して血液をめいっぱい凝固させても、血栓や血餅(けっぺい)という凝血塊ができるものの、液体部分である血清は必ず残るため、血管に沿って血液全体が固まるのではなく、血液の中に凝血塊が散在することになります。
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以上をふまえた上で生体への血液凝固剤の投与を具体的な例で検討してみると、現実的に使用できる血液凝固剤にトロンビンというものがあるのですが、血液凝固のプロセスは非常に複雑で何段階にも及び、その最終段階で働くのがこの物質です。
医療過誤、すなわち医療ミスの中には、このトロンビンを誤って注射で静脈内に投与してしまった例があるのですが、
トロンビン点滴静注による事故死の一剖検例
という報告によると、トロンビンを間違って点滴後にショック状態=血圧が低下し、しばらくして呼吸が停止してしまう事態となりました。
その後は懸命な治療がなされましたが患者さんは帰らぬ人となり、司法解剖の結果、血管内には多くの血栓が認められ、直接の死因としては血栓が肺動脈という血管をつまらせた肺動脈塞栓症(はいどうみゃくそくせんしょう)と考えられたとのことです。
ちなみにこの報告の中にはウサギにトロンビンを静脈内注射した実験が引用されていますが、その実験ではウサギは30秒以内に死亡し、解剖すると全身の血管内に血栓が認められました。
というわけで血液凝固剤を使うと血液中に血栓などの凝血塊が多数でき、それが血管をつまらせたり血液循環を悪化させると、それだけで生体には十分すぎる程の致死的なダメージとなることがご理解いただけるかと思います。
よって、たしかに血液循環は悪化するので体を冷やすことは難しくなるでしょうが、それ以前に血液凝固の威力そのものでゴジラは倒せてしまう可能性が高いわけです。
しかも劇中ゴジラは、血液凝固剤による攻撃を受けた後になぜか自分を凍結してしまいます。
冷却を防いだにもかかわらず凍ってしまうなんて、激しく謎でしかありませんでしたが・・・
マエケンという絶対的エースが抜けたのに広島が優勝したのと同じようなものでしょうか?
そんなわけでやや強引ですが、25年ぶりの広島のリーグ優勝おめでとうございます!
今年の広島は「神ってる」と話題になりましたが、ゴジラもスペルではGodzillaでしっかりGod=神が入っていて、シンには「新」「真」「震」などいろんな意味があるそうで、もちろん「神」の意味もあるようです。
それはさておき、『シン・ゴジラ』を見終わっての感想としては、
「庵野秀明監督の最高傑作は、やっぱりナディアだ!」
に尽きてしまいます、ホッ。
『ふしぎの海のナディア』はぼくにとって永遠の神アニメで、終わったのは1991年なので広島が最後に優勝したのと同じ年のことでした。
今後ともよろしくお願いします。

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