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クリニックブログ

とんど焼き

2017年01月26日

小学生の頃は毎年1月になると、「とんど焼き」集会という行事がありました。
同様の行事の最もメジャーな呼び方は「どんど焼き」と思われますが、地域によっては「とんど焼き」や「どんと焼き」などいろんな呼び方があるようです。
地域によって名称に多様性があるものとしては他には「ポン菓子」や「カプセルトイ」などがありますが、参考までにぼくの地元ではポン菓子はパンパン菓子、カプセルトイはガチャガチャと呼ばれていました。
ぼくのいた小学校の「とんど焼き」について簡単に説明しておくと、校庭の真ん中で大きな火が燃え盛っているところに、新年の書き初めを学年ごとに順番にひたすら放り込んでいくという超ストイックな行事でした。
そして書き初めを火に入れた際に炎が高く上がると字が上達するという言い伝えがありましたが・・・
あれはたしか4年生の時のことだったと記憶しています。
自分の書き初めを燃やし終われば後は暇だったのでボーっとしていると、急に目が痛くなり開けておくことも困難になってしまいました。
当初はすぐに治るだろうとお気楽に構えていましたが、しばらく経ってもさっぱり改善の気配はありません。
そこで行事が終わると手で片目を押さえながら、やむなく保健室に行ってみることにしました。
保健室の先生はぼくの目を見ると、
「ん~どれどれ・・・ああ、そういうことね」
なんて独り言をつぶやきながら
「ちょっと痛いかもしれないけどガマンしてね」
とか言ってぼくの目に処置を施してくれると、一瞬だけ強い刺激が走って痛みが増したものの、その後は先程までの痛みは嘘のように消えてなくなり、無事に目も開けられるようになっていました。
そして
「これが入っていたんだよ」
と彼女がピンセットの先でつまんで見せてくれたのは、まっ黒になってしまった紙の燃えカスで、
「これ結構大きいよ、よっぽど大きな目を開けていたんだね」
と目の痛みの原因を教えてくれたので、
「ありがとうございました」
と心からの感謝の気持ちを伝えたところ、
「こんなのが目に入ったんだから、君はものすごく字が上手になるよ」
「えっ本当!?」
・・・といった感じの実にほのぼのとしたやりとりがあったのですが、さて、ここまでの内容から分かることは何でしょうか?
そうです、当時のぼくはメガネをかけていなかったのです。
もしメガネをかけていれば、紙の燃えカスが目に入るなんてことは起こりようがないですからね。
思えば現在のぼくが普段よく会っている人は、ほとんどの人が大人になってから知り合った人ばかりになります。
となると、ぼくは基本的にメガネをかけている人として認識されている可能性が高く、中にはぼくのことを小さな頃からずっとメガネと誤解している人もいるかもしれません。
でもぼくが日常的にメガネをかけるようになったのは大学5年生の頃からで、つまりは23歳の頃からであり、現時点ではまだ自分の歴史の中ではメガネをかけていなかった時代の方が長いのです。
いちおう人並みに勉強していた高校生の頃までは視力は問題ありませんでしたが、人並み外れて勉強しなくなった大学生の時になぜか視力は急激に低下したので、不本意ながら時々メガネを着用するようになっていきました。
そして5年生になると病院での臨床実習が始まるため、4年生までに比べるとはるかに真面目に学校に行かなければならなくなってしまいました。
ぼくの家から大学までは車での通学が許可される距離でしたが、車で行くと通勤ラッシュの渋滞に巻き込まれて遅刻することも多かったので、次第に自転車での通学にシフトしていった、そんなある日の大学からの帰り道のことでした。
当時はまだメガネは時々かけているだけで、自転車に乗る時は基本的にメガネはしていませんでしたが、その時はなぜか大学からメガネをかけたままで自転車で帰っていました。
ゆるい下り坂にさしかかり徐々にスピードアップしながら進んでいくと、突然何かが目の前に迫ってきたので反射的に目を閉じてしまいました。
すぐに再び目を開き今のは何だったのか気になったので自転車を止め、メガネを外して確認してみるとレンズには虫がつぶれたあとが付着していました。
それでようやく虫が目に向かって飛んできたものの、メガネのおかげで目が守られたことを知ったのでした。
そしてその日以来、段々と日常的にメガネをかけるようになっていったというわけです。
なお当時のぼくには自転車を運転する際、一つの流儀がありました。
それは、”可能なかぎり信号では止まらない”というものでした。
では目の前の信号に引っかかったらどうするのか?というと、答えは非常にシンプルでとりあえずは目的地に向かう方の横の信号を進むだけなのですが、そのために時にはとんでもない大回りをするハメになったことも何度かありました・・・
ところで保健室の先生に上手になると予言されたぼくの字は、一体どうなったのでしょうか?
ただ個人的には字を書く際にも、自転車と同様に一つの流儀があります。
それは自転車で止まりたくないという精神にも重なるのですが、”可能なかぎりペンなどの先を紙から離さないで一筆で一気に書きたい・・・つまり英語の筆記体のように書きたい”というものです。
そんなわけで流儀の方を優先させると、字は草書体になるため読解不能なことも少なくないのですが、先日名字を書く機会があった時のことです。
『小野』
とさらっと一筆で一気に書いて渡すと、
「えーっと、これは・・・『小町』さんですか?」
とまさかの誤読をされたので驚いてしまいました。
たしかに全部つなげて強引に書いたため『野』が『町』に似ていましたが・・・
残念ながら保健室の先生の予言は外れてしまったものの、一瞬でも小野小町になったような気分を味わえるなんて小野冥利に尽きてしまう貴重な経験であり、筆記体さまさまでした。
ちなみに岡山では、こんな感じで一気に書くことをチャラ書きと呼びます。
今後ともよろしくお願いします。

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