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クリニックブログ

いよいよ

2014年06月07日

今年も6月4日から10日までの、歯と口の健康週間がやってきました。
実はぼくは・・・、歯科は全く苦手ではありません。苦手どころか、リラックスしすぎてよく寝てしまい、口を閉じてしまいそうになると、
「起きて下さ~い」
と雪山で遭難した時のように起こされることもたびたびです。
そんなわけなので、歯科には特に嫌な印象もないのですが、数少ない苦い思い出について書いてみます。

それはぼくが医師になって6年目の話で、当時は岡山大学の病院で働いていました。今でも原因はよく分からないのですが、人生で最大級の口内炎に襲われてしまい、食べるのもキツイ日々が続いていました。当初はたかが口内炎と楽観視し、
「これぞ口内炎ダイエット!」
と強がっていましたが、されどされど口内炎。改善の気配は皆無で、週末にさらに悪化したらヤバいな~と弱気になってきていました。そこで金曜日に同僚に頼んで、塗り薬でも処方してもらうことにしました。
医局という医師がたむろする部屋に行き後輩を見つけると、
「悪いけど、口内炎の塗り薬を出してよ」
とさっそくお願いしてみました。するとその後輩が、
「口内炎ですか?それなら歯科に行って、レーザーやってもらったら一発ですよ」
という実にナイスな提案をしてくれました。
ぼくには口内炎で歯科にかかるという発想が一切ありませんでしたが、たしかに人生で最大レベルの口内炎です。歯科でレーザー治療でもしてもらわないと治らないかも?と急に心配になってきて、慌てて大学病院の歯科を受診しました。
受付で手続きをしてしばらく待ち、名前を呼ばれたので診察室に入った時、手にしていた保険証をあやうく落としそうになってしまいました。
中にいたのは険しい顔つきのドイツ兵のような先生で、あまりの威圧感に思わず手の力が抜けてしまったからです。胸のネームプレートによれば、どうやら助教授の先生のようでした。
「あの人は、怒ると怖いんだよ」
と評される人なら、怒らせなければいいだけの話ですが、
「あの人は、笑っていても怖いんだよ」
という感じの目の前のドイツ兵に対しては、どうすればいいのでしょう?
ポーランド兵にでもなったような気分で困惑していると、
「で、今日はどうしたんだね?」
と向こうから声をかけてくれました。
ひょっとするとクレヨンしんちゃんの園長先生のように顔だけなのかなと思い、
「実は口内炎ができて、レーザーで治療してほしいんですけど」
と思い切ってこちらの希望をリクエストしてみました。それに対する彼の返事は
「まず口の中を見てからだな」
でしたが、たしかに彼の言うとおりで、なるほどドイツ兵だけあって合理的です。歯科独特のイスの背もたれを倒されると、いよいよお口チェックが始まりました。
「どれどれ、・・・ほぅ」
ドキドキしながらコメントを待っていましたが、彼の口から飛び出してきたのは意外な内容でした。
「学生がいるんだけど、見せてもいいかな?」
え?
たしかに人生で最強最悪の口内炎だけど、プロが見てもそんなにすごいのかな?まっこれで学生さんに貢献できるのなら・・・と考え、
「いいですよ」
と返答しました。
それからしばらくして女の子たちの声が近づいてくると、
「さあ、これを見るんだ」
とドイツ兵の声がしたので、ぼくの口の中を見せているのが分かりました。
「これが・・・、舌苔(ぜったい)だよ」

tongue-trouble003_caption

ちなみに舌苔とは、こんな感じです。
まさかの展開に思わずイスからズリ落ちそうになりましたが、なおもドイツ兵と女学生たちの対話は続いています。
「舌苔って何ですか?」
「主に健康状態のよくない人に見られる」
「初めて見ました」
「通常の外来では、あまり見られない」
たしかに口内炎ダイエットに加えて激痛のために歯も磨けずにいたので、口の中の衛生状態は最悪だったと思います。しかし、うら若き乙女たちに自分でも気づいていなかった舌苔を見られるとは、あんまりです。このイスがロケットの発射台であったなら、そのまま宇宙の果てまで飛んで行き、独りで大声を出して泣きたい気分でした・・・
ふと我に返ると、学生さん達の気配がなくなっていたので、
「あの、レーザーは・・・?」
とおそるおそるドイツ兵に訊いてみました。
「ん?舌苔があるのにレーザーなんて、10年早い。まずはうがいだ」
と却下され、うがい薬を処方されました。
「あの、せめて塗り薬だけでも・・・」
と食い下がりましたがギロリとにらまれ、
「舌苔があるのに、ステロイドの塗り薬を使う資格はない」
と一蹴されてしまい、
「舌苔の分際で」
とでも言わんばかりの態度で難攻不落のため、医局に戻ると先程の後輩を探し、塗り薬を処方してもらいました。
とてもじゃないですが、土日をうがい薬だけで乗り切る度胸はありませんでした。その後は塗り薬のおかげで快方に向かい、食事摂取も可能になり舌苔も改善しました。
というわけで口内炎も舌苔も解決したのですが、月曜日にはドイツ兵の予約がまた入っていたので律儀に受診しました。
「ほら、うがい薬だけで良くなるだろ?」
と彼はとても御満悦そうでした。
もっとも御満悦でも、5秒後にはブチ切れるのでは?という恐怖はありましたが・・・
ただ、ぼくもZZ会(=全国舌苔の会)のはしくれとして、なにかリベンジをしないと気がすみませんでした。
ぼくが思う日本の医療系のTVドラマなどのよくある間違いの1つは、
「教授」
と教授を呼ぶことです。
実際には教授を教授と呼ぶことはほとんどなく、「〇〇先生」と普通に呼ぶのが圧倒的に多いと思います。そして、教授はまだいいにしても、「助教授(今だったら准教授)」と呼ぶと”助教授=教授になれない人”というニュアンスで受け取られる可能性があり、相手によっては失礼になり得るので助教授と呼ぶことはまずないと思います。
そこでドイツ兵先生には、
「助教授のおかげです、ありがとうございました」
とお礼を言っておきました。リベンジと呼ぶには、ささやかすぎる抵抗かもしれませんが、なにせ相手はドイツ兵です。

今はこれがせいいっぱい・・・
さて万国旗といえば、いよいよ、もうすぐワールドカップです。
以前に「電流」という回で書いたように、ぼくはメッシのいるアルゼンチンを応援します。
今後ともよろしくお願いします。

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