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もう少し待って

2017年09月20日

ついに陸上の桐生選手が100m走で、日本人初の9秒台を出したそうです、パチパチ・・・
と同じ日本人として祝福したいところですが、ここは一つもう少し待った方がいいかなと。
陸上選手って、いろんなことがありますから。
とまあこんな風にぼくが用心深くなってしまったのは、忘れもしない1988年のソウル・オリンピックがきっかけで間違いありません。
当時ぼくは中学生で、その年はこのブログにも何度か友情出演してくれた床(とこ)君(「ソチ・オリンピック」「ホームワーク」「一体どこまで」)と同じクラスでした。
オリンピックの100m走においてはクラスではカール・ルイスが圧倒的な人気でしたが、なぜか床君だけは独りベン・ジョンソンを熱狂的に応援していました。
そして運命のレース当日、ベン・ジョンソンは世界記録を打ち出してカール・ルイスに勝利し、金メダルに輝きます。
その結果に有頂天になり狂喜乱舞した彼はベン・ジョンソンの走る真似をしながら、
「どうだ!見たか!やっぱベン・ジョンソン最高、わーはっはっは!!!」
と勝ち誇ったように高笑いを炸裂させていました。
ところがその数日後、ベン・ジョンソンはドーピングで金メダルを剥奪されてしまいます。
そこからの彼の急激な落ちぶれっぷりときたら、その前に威張り散らしていた反動とも相まって目も当てられない程でした。
肌の色だけであれば完全に黒人だった彼はすぐに「ジョンソン」と呼ばれるようになり、文字どおり暗黒時代へと突入していきます。
ちなみにその頃はぼくも「ルパン」と呼ばれていたので(「チャリな思い出」)、クラスで盗難事件があると「ルパンが怪しいぞ」と何の根拠もなく容疑をかけられらり、床君は床君でサッカーでどんなに活躍してもドーピング疑惑をかけられ認めてもらえないという散々な日々を送っていました。
というような理由で、陸上の記録で喜ぶのはもう少し待つことをお勧めします。
そういえば実は医師になってからも、待つことの重要性を痛感した出来事がありました。
それは1年目に大学病院で研修している際に、約半年間も入院していた患者さんが退院することになった時のことでした。
その方はおばちゃんの患者さんでしたが、退院当日に家族の迎えを待っている彼女を病室に訪れると、
「先生、ちょっとちょっと」
と部屋の外にぼくを連れ出して周囲からは見えないように、
「お世話になったから、これあげる」
と封筒を差し出してきました。
当時は研修医で非常勤だったので公務員ではなく、指導の先生達からは
「もらえるものは、もらったらよろしい」
と許可が出ていたので、ありがたくそのお礼を受け取りました。
それから最後の診察を終えてその方と別れると、とりあえずは人目につかない場所に移動し速攻で封筒の中身を確認しました。
「よしよし」
大体予想どおりの中身で気をよくしていると看護師さんに呼ばれていることに気付き、出向いてみると先程のおばちゃんがいて話があるとのことでした。
「どうかされましたか?」
「いやね、旦那が迎えに来たんだけど、先生にお礼を持ってきてるって言うのよ。だから、さっき渡したの返して」
いやホント、この時に受けた衝撃は人生最大の危機ベスト10に今でも入ってます。
白衣のポケットを探り先程の封筒を取り出すと、自分でもドン引きしてしまう程に封筒はビリビリに破って開けられていて・・・目を血走らせながら鼻息も荒くがっついて中身を確認したであろうことは、名探偵シャーロック・ホームズの洞察力を以てしなくても一目瞭然でした。
さらに追い打ちをかけるトドメの事実として、彼女の前から去り再度呼ばれるまでの時間は3分もなかったので、たったそれだけの時間すらも我慢できなかったというお行儀の悪さも露呈してしまっていました。
結果的には旦那さんからいただいたお礼は同額でしたが、差し引きするとマイナスで失ったものの方が大きかったような気がします。
というわけでその後に研修医を指導する機会があれば、ヒポクラテスの誓いよりも大切な医師の心得として、
「患者さんから何かもらっても、すぐには開けずしばらく待つように」
とこのエピソードを交えながら伝えるようにしていましたが、同様の被害者がもう出ないことを祈ってやみません。
今後ともよろしくお願いします。

 

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