岡山県倉敷市阿知1-8-10 武部不動産ビル2F 倉敷 駅のほとりの心療内科 まくらぎクリニック

クリニックブログ

未熟ゆえ

2013年11月12日

先日タクシーを利用する機会があり、それが研修中のタクシーでした。
初めて見た時から違和感はあって、すぐに謎は解けました。
助手席に人が乗っていたからです。
その人は車が止まると降りてきて後部座席のドアを開けてくれました。ぼくが入るとその人も助手席に戻り、運転手が
「今日は研修中なんです、申し訳ありません」
と頭を下げてくれました。
そしてタクシーは出発したのですが、
「この道を行くと近い」
「ここは朝は一方通行」
「あそこの店はよく目印に使われる」
など、運転手から助手席の人へのレクチャーが実にためになる内容であり、得しちゃった気分でした。そして目的地に到着すると助手席の人がさっと降りてドアを開けて、
「どうぞ」
と声をかけてくれました。
ぼくが出ると去り際に、
「今日は研修でご迷惑をおかけしました」
と頭を下げてくれました。
迷惑どころか、これまでのタクシーでは最高のおもてなしで、まるでハイヤーに乗ったかのような気分でした。もちろんハイヤーになんか乗ったことはありませんので、あくまで想像です。
なんでこんなにサービスいいのに、迷惑だなんて言うのだろ?と思索にふけっていると、前々からの疑問を思い出しました。
たとえば女優さんがテレビに出ていて、昔の映像なんかが流れると
「キャー恥ずかしい!やめてえ」
なんて大騒ぎすることがあります。いや・・・
その昔の映像の中の彼女は若くて、肌も張りが合って、ちょっと初々しくて、はっきり言って
「今の姿の方が恥ずかしいのでは?」
と思ってしまうことがあります。
人は出発点の頃の自分を未熟な存在と卑下してしまいがちですが、未熟だからこそできることもあると思います。ぼくが医師になって最もプレッシャーを感じたのは、鳥取大学で小児神経をやっていた頃のことになります。
なんと、小枝達也先生という、発達障害で高名な先生の外来を引き継ぐことになってしまいました。
当時は小枝先生の外来をたびたび見学させてもらっていて、いかに小枝先生がカリスマ的存在で、外来を訪れる患者さん達の信頼を得ているのかを目の当りにしてきました。それが、
「じゃ、次からこの先生ね」
なんて見学している頼りない医師を紹介されても、患者さん達は不安だったと思います。
ひょっとしたら誰も来ないんじゃないか?とか、ズタボロに酷評されたらどうしよう?なんて心配して、ドキドキしながら外来の日を迎えました。すると、意外にも多くの人がきちんと来て下さり、普通に外来を進めることができたのです。
それからも特に問題なく時は流れ、ある日こんなことを言ってくれた患者さんがいました。
「小枝先生はすごい先生だけど、カリスマすぎてちょっと緊張していました。今の方が気楽に通えます」
このことばに励まされるようにして、なんとか任期の間はその外来を続けることができ、それどころか調子に乗って開院してしまいました。
まったく、未熟さまさまです。
今後ともよろしくお願いします。

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